南北対立で政情の安定する糸口さえつかめない中部アフリカの一国「チャド(チャド共和国)」。北アフリカのリビア、東のスーダン、西のニジェールという各国に囲まれた内陸国で、しかも北部はサハラ砂漠に覆われるという国土をもち、1960年ほかのアフリカ諸国同様独立を果たしたものの、北部のイスラム教と南部のキリスト教という2大勢力の対立が続き、内戦やクーデターを繰り返すという歴史をもっています。その極限ともいえる事件が、2011年反政府勢力に東部主要都市を制圧されるという事態が起こっています。地理的にも隣国との影響が大きく、隣国からのチャド内政干渉,周辺国に潜伏するチャド反政府組織の東北部侵入も懸念され、2015年以降はイスラム系過激派組織「ボコ・ハラム」の影響でチャド湖流域の難民・人道状況悪化という懸念材料を抱えています。そうなると、なかなか政情安定の糸口さえ見えてきません。経済的にもサハラ砂漠という自然に阻まれ農業さえままならないという国土で一筋の光として、2003年南部と隣国カメルーンのクリビ港間で石油パイプラインが開通し石油輸出が始まったことでしょうか。さらに現在アフリカ諸国に急接近していると言われる超大国中国のCNPC(中国国営石油会社)との協力ではじまった油田開発も加わり、一筋の光がさしかけた矢先の2013年原油垂れ流し事件が発生し、その中国とも軋轢を生じさせてしまい、さらに、周辺の自然にも甚大なる被害を与えるという事件が起こってしまいました。まさに唯一の光さえも失いかけている現状が続いています。他アフリカ諸国同様、地下資源だけに頼る経済政策脱却が同国にも性急に求められる課題と言えるでしょう。

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火 9月 1 , 2020
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